呼吸と歩きやすさを支える、肋骨まわりのケア

今回は、肋骨まわりの広がりと身体の姿勢に変化が見られた、10歳雑種犬の施術例をご紹介します。
カウンセリング時の様子
こちらのわんちゃんはとても怖がりな性格で、慣れない場所や人に対して吠えたり、緊張して身体が震えたりすることが多い子です。
今回は出張施術だったため、過ごし慣れたご自宅での施術をさせていただきました。
施術前に身体を確認すると、肋骨まわり(特に左側)が左右に大きく張り出し、身体を上から見たときに胴まわりが横へ広がって見える状態でした。
わんちゃんが緊張しているときや興奮しているときは、呼吸が速く浅くなりやすく、首や肩、胸、肋骨まわりの筋肉にも力が入ります。
このような状態が続くことで、胸郭の動きが小さくなったり、肋骨まわりの筋肉がこわばったりして、身体のシルエットや姿勢に影響することがあります。
ただし、怖がりな犬や吠える犬の肋骨が必ず広がるわけではありません。
体型や犬種、姿勢、呼吸の状態、筋肉のつき方なども関係するため、身体全体を確認することが大切です。
肋骨が横に広がって見えやすい犬とは?
肋骨まわりの広がりは、緊張や興奮が強く、呼吸が速くなりやすい犬で見られることがあります。
また、フレンチブルドッグなどの短頭種や、胸の深い犬種は、もともとの骨格や呼吸の特徴によって胸郭が大きく見える場合があります。
犬種本来の骨格と、筋肉の緊張や姿勢による変化を見分ける必要があるため、見た目だけで「肋骨が開いている」と判断することはできません。
人は意識してゆっくり息を吐き、呼吸を整えることができます。
息を吐くときには肋骨が内側へ動き胸郭が小さくなるため
深くゆっくりの呼吸を続けることで、肋骨を引き締めることが期待できます。
一方、犬に「ゆっくり息を吐いて」「胸の力を抜いて」とお願いすることはできません。
そのため、胸や肋骨まわりに触れながら緊張を確認し、その子がリラックスしやすい状態をつくることも、身体のケアでは大切になります。
肋骨まわりの広がりが身体に与える影響
胸郭の動きが小さくなったり、肋骨まわりの筋肉が緊張したりすると、次のような部分にも負担がかかる可能性があります。
- 肩や前肢を前へ出しにくくなる
- 歩幅が小さくなる
- 首や肩まわりに力が入りやすくなる→肩こりの原因に
- 背中が丸くなるなど、姿勢のバランスが変化する
- 身体をひねる動きがしにくくなる
- 呼吸に伴う胸郭の動きが小さくなる
前肢は肩甲骨周辺の筋肉によって胴体とつながっています。
そのため、胸や肋骨まわりの筋肉がこわばると、前肢や肩甲骨の動きにも影響することがあります。
肋骨だけを独立して考えるのではなく、呼吸、首、肩、背中、前肢を含めた身体全体のつながりを見ることが重要です。
今回行ったケア
今回は、わんちゃんの緊張や表情を確認しながら、肋骨まわりを中心に約20分間のマッサージ整体を行いました。
怖がりな子に無理に触れたり、肋骨を強い力で押したりすることはありません。
まずは安心して触れられる場所から始め、呼吸の様子を見ながら、胸や背中、肋骨まわりの筋肉をゆっくりとケアしました。
施術後に見られた変化
施術前は肋骨まわりが横へ張り出して見え、腹囲は60cmでした。
施術後には、身体を上から見たときの横への広がりが小さくなり、腹囲は57cmとなりました。あわせて、身体の中心軸や座ったときの姿勢にも変化が見られました。
ただし、腹囲は呼吸のタイミング、姿勢、測定位置などによっても変動します。
今回の3cmという数値だけで身体の変化を判断するのではなく、写真で確認できるシルエットや姿勢、触れたときの筋肉の状態などを含めて評価しています。
また、マッサージによって骨そのものの形を変えたり、肋骨を強制的に締めたりしたわけではありません。
肋骨まわりの筋肉の緊張や姿勢が変化したことで、身体の見え方や腹囲にも変化が現れた可能性があります。
愛犬の肋骨まわりを確認してみましょう
愛犬が自然に立っているときや座っているときに、身体を上から観察してみてください。
- 以前より胴まわりが横へ広がって見える
- 左右の肋骨の張り出し方が違う
- 胸や肋骨まわりに触れると嫌がる
- 呼吸が速く、胸まわりに力が入っている
- 前肢の歩幅が小さくなった
- 背中が丸くなった
- 首や肩がこわばって見える
このような変化がないかを、普段から確認しておくことをおすすめします。
ただし、呼吸が荒い、咳が出る、呼吸が苦しそう、急に胸やお腹が膨らんだといった症状がある場合は、マッサージを行わず、まずは動物病院を受診してください。
私の施術では、呼吸や姿勢、歩き方、皮膚や筋肉の状態を確認しながら、一頭一頭に合わせた優しい施術を行っています。
「愛犬の肋骨が以前より広がって見える」「姿勢や前肢の動きが気になる」という方は、お気軽にご相談ください。
※本施術は獣医療行為ではなく、病気の診断や治療を目的としたものではありません。
※掲載している変化は一例であり、すべての犬に同様の変化を保証するものではありません。
